SNSで「LINEが有料になる」という噂が広がりましたが、正確には「LINEというアプリの中に、有料の階層が増えていく」のが実態です。連絡手段としてのLINEは無料のまま。一方で、これまで無料だった一部機能の条件が変わり、便利な新機能は有料会員の特典として提供される流れが始まっています。
※ このほか企業向け「LINE公式アカウント」の配信料金改定のニュースが個人向けの話と混同され、「LINE有料化」の噂を後押ししたと解説されています(おちゃタイム記事より)。
2026年6月22日、従来の「LYPプレミアム」は「スタンダードプラン」に改称され、7月中旬以降に月額290円の「ライトプラン エンジョイパック」が新設されます。無料・ライト・スタンダードの3段構えで、「まず290円から試してもらい、上位プランへ引き上げる」サブスクの王道戦略です。
LINEヤフーの2025年度(FY25)決算を見ると、課金強化の理由がはっきり見えます。会社全体の売上は2.0兆円(+6.2%)と伸びた一方、広告を含むメディア事業は7,351億円で前年比+0.4%とほぼ成長が止まりました。中でも検索広告は10%超の減収——検索がAIチャットに置き換わりつつある逆風をまともに受けています。
検索広告の落ち込みをアカウント広告と決済事業が補う構図。「広告一本足」から脱却し、伸びている分野=課金と決済に軸足を移すのは自然な流れといえます(出典:プレジデントオンライン記事内のFY25決算数値)。
LINEヤフーはFY26の方針として、AIを活用した4つの収益源を掲げています。今回の有料プラン強化は、この「ユーザー課金」の柱を太くする施策と位置づけられます。
もう一つの柱が、LINEをお金の流れの入口にする「経済圏」構想です。象徴が今夏に始まるPayPayとのアカウント連携。1億人のLINEと7,400万人超のPayPayがつながり、トーク画面から直接送金や割り勘ができるようになります。実はこの連携は2023年11月の情報漏洩問題でセキュリティ再構築を迫られ延期されていたもので、満を持しての再始動です。
元記事の筆者はこの流れを、「無料という広い入口でメッセージ機能を定着させ、その上でコマースやサブスクなどの収益源を育てる」設計思想への転換と読み解いています。連絡手段は無料の集客装置であり続け、その先の「お金が動く場面」をすべてLINEの中に取り込む——これが「本当の理由」の核心です。
※ 時期はいずれも2026年7月17日時点の公表・報道ベース。変更される可能性があります。
長年ユーザーが要望してきた機能が、ついに実装されます。ただし提供先はスタンダードプラン(有料)の特典。8月以降にLINEラボで無料体験させてから秋に有料化する段取りで、「便利さを一度知ってもらってから課金してもらう」フリーミアムの定石どおりの展開です。
送信後のメッセージを訂正できる機能。誤字や言い間違いを「送信取消→打ち直し」せずに直せる。
ブロックした相手の友だちリストから、自分の表示そのものを消せる機能。関係を絶ちたい相手に痕跡を残さない。
日時を指定してメッセージを送れる機能。深夜に思いついた連絡を翌朝に送る、誕生日の0時に送る、といった使い方が可能に。
LINE通話を録音し、文字起こしまでできる機能。口頭でのやり取りを記録に残せる。
元記事のタイトルにもなっているのがこの論点です。決済・ショッピング・ニュース・AIと機能を詰め込む「スーパーアプリ化」は、収益面では合理的でも、ITに詳しくない人にとっては「複雑で怖いアプリ」になっていくという副作用を持ちます。
筆者の鈴木朋子氏(ITライター・スマホ安全アドバイザー)は、子どもを持つ保護者から「子ども用にもっとシンプルなLINEが欲しい」という声が寄せられていると紹介します。機能が増えるほど、意図しない課金や情報トラブルの入口も増える——子どもからシニアまで1億人が使う以上、これは無視できないリスクです。
そこで筆者が提案するのが、かつて海外向けに提供されていた軽量版「LINE Lite」のようにメッセージ機能に絞った簡潔版アプリや、アプリ内の機能を制限できるオプションの提供です。一方で、収益化そのものについては「インフラを維持する原資になり、ユーザーの利益にもつながる」と歓迎の立場。稼ぐことと、誰もが安全に使えることの両立——これが1億人のインフラに課された宿題だと締めくくっています。