社内共有資料

2025年 育児・介護休業法 改正のポイント
4月・10月の2段階で何が変わり、会社は何をすべきか

社会保険労務士法人ローム 牧野氏の解説動画より、育児・介護休業法および雇用保険の改正内容と、中小企業の実務対応をわかりやすく整理
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まず3行まとめ

ご注意:本資料は公開されている解説動画を社内共有用に要約したものです。制度の要件・数値・施行日には正確を期していますが、実際の就業規則改定や手続きは、厚生労働省の公式資料または顧問社労士にご確認ください。動画には解説者個人の見解(推奨する措置の選び方など)も含まれます。
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元動画

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解説者・チャンネル

解説者

牧野剛氏(社会保険労務士)

  • 社会保険労務士法人ローム(本社・静岡県浜松市)の代表社会保険労務士。中小企業の労務・経営支援を専門とする
  • 自社でも育児・子育て支援の仕組みを実践し、のべ22名の育休・のべ6名の短時間勤務を取得してもらいながら採用に活用してきたと語る
  • 「社長も社員も幸せになる」経営をテーマに情報発信。自社を90名規模の社労士事務所へ成長させた経験がベース
チャンネル

社会保険労務士法人ローム

  • 経営者・人事担当者向けに、法改正や労務のポイントを解説するYouTubeチャンネル
  • 今回のテーマは「2025年4月改正!育児・介護休業法をわかりやすく完全解説」
  • 改正の背景 → 現行制度 → 4月/10月の改正内容(就業規則の規定例つき) → 雇用保険の改正 → 中小企業の勝ち残り対策、という構成
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数字で見る「なぜ今、改正なのか」

70万人
2024年の出生数(予想)
ピーク時は約270万人(1949年)。急速な少子化で人口が早く縮小する「大ピンチ」——だから育休制度が毎年のように改正されている(動画では概数で「240万人」と紹介)
30%
男性の育休取得率
動画紹介時点は約30%(2023年度)。その後も上昇中だが、「取りたい」という希望は約8割で、希望と実態のギャップを埋めるのが今回の雇用保険改正の狙い
95,000
年間の介護離職者
介護休業の利用実績がない企業は83%。辞めると戻りにくく、人口減少社会では大きな損失。介護離職防止が今回の柱の一つ
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改正の全体像——2025年は「4月」と「10月」の2段階

2025年(令和7年)4月
  • 看護休暇 → 「看護等休暇」に拡充(対象年齢・取得事由の拡大ほか)
  • 所定外労働の制限を小学校就学前まで拡大
  • 短時間勤務の代替措置にテレワークを追加
  • 育児のためのテレワーク導入(努力義務)
  • 介護休暇の見直し・介護離職防止の環境整備
  • 育休取得状況の公表義務を300人超に拡大/次世代法の延長
  • 雇用保険:出生後休業支援給付金育児時短就業給付金の新設
2025年(令和7年)10月
  • 柔軟な働き方を実現するための措置(3歳〜小学校就学前)
  • 5つの制度から2つ以上を選択して会社で導入
  • 選ぶ際は過半数労働組合/過半数代表者からの意見聴取が義務
  • 従業員は導入された措置から1つを選んで利用
  • 子が3歳になる前の個別の周知・意向確認を追加
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2025年4月の改正——6つの見直しと就業規則の変更点

看護休暇 →「看護等休暇」へ
小学校就学前まで/病気・怪我のみ小学校3年生修了まで。感染症による学級閉鎖・入園式・卒園式も対象に。継続雇用6か月未満の除外を撤廃
所定外労働の制限(残業の免除)
3歳未満の子を養育する労働者小学校就学前の子を養育する労働者まで拡大
短時間勤務制度の代替措置
育休の延長・始業時刻変更など代替措置に「テレワーク」を追加(短時間勤務が困難な職種向け)
育児のためのテレワーク導入
規定なし3歳未満の子を養育する労働者が選べるよう措置する「努力義務」(月10日・時間単位が目安)
介護休暇の対象拡大
継続雇用6か月未満は労使協定で除外可その除外を撤廃。6か月未満でも介護休暇を取得可能に
介護離職防止のための雇用環境整備
規定なし研修/相談窓口/事例収集・提供/方針の周知のいずれかを実施する義務(次のセクションで詳説)

あわせて:公表義務の拡大と次世代法の延長

育休取得状況の公表義務は、これまで従業員1,000人超だったのが300人超に拡大。男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」のいずれかを、年1回・おおむね事業年度終了後3か月以内にインターネット等で公表します。

また次世代育成支援対策推進法が2035年(令和17年)3月末まで10年延長。一般事業主行動計画の策定にあたり、育休取得や労働時間の状況把握・分析(PDCA)と数値目標の設定が義務化されました(常時雇用101人以上が義務、100人以下は努力義務。ただし助成金申請時は事実上必要)。

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介護離職を防ぐ——「40歳前後」の事前教育がカギ

会社は具体的に何をすればいい?
介護休業や介護両立支援制度の申し出が円滑に行われるよう、①研修の実施 ②相談窓口の設置 ③自社の利用事例の収集・提供 ④利用促進の方針の周知のいずれかを講じる義務ができました。加えて、介護に直面した労働者には個別の周知と意向確認(制度の内容・申出先・介護休業給付金など)を、面談・書面の交付・FAX・電子メールのいずれかで行います。
なぜ「40歳前後」で伝えるのか?
介護は育児と違って計画できず、脳梗塞・心筋梗塞などである日突然始まるため、直前に知っても間に合いません。そこで40歳前後(40歳に達する年度など)の早い段階で、介護休業制度・申出先・給付金を情報提供する義務が新設されました。ポイントは、介護休業は「自分で介護する休み」ではなく介護の体制を構築するための一定期間の休みだと趣旨まで伝えること(自分で介護すると93日では到底足りない。施設・ケアマネ・家族での体制づくりに使う)。
背景データ:介護休業の取得率はわずか3.2%、利用実績がない企業が83%。一方で介護離職は年間約9.5万人。団塊世代が後期高齢者になり介護需要が増えるなか、事前教育で大切な従業員を失わないことが会社にとっても重要、というのが牧野氏の力点です。
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2025年10月の改正——「柔軟な働き方」5つから2つ以上を選ぶ

3歳〜小学校就学前の子を養育する労働者に対し、会社は次の5つの措置から2つ以上を選んで導入します。従業員はそのうち1つを選んで利用します。

牧野氏の推奨例
措置 ①
始業・終業時刻の変更

時差出勤。職種を選ばず導入しやすく、解説者が最も勧める選択肢の一つ。

措置 ②
テレワーク

月10日以上・時間単位で取得できるように。ただし事業所単位での導入が必要で、現場・新人には不向きな面も。

措置 ③
保育施設の設置・運営等

施設が難しければベビーシッターの手配と費用補助でも可。補助額が小さいと助けになりにくい点に注意。

措置 ④
養育両立支援休暇

就業しつつ子を養育しやすくする新しい休暇。年10日以上・時間単位で取得できるように。

牧野氏の推奨例
措置 ⑤
短時間勤務制度

1日の所定労働時間を6時間などに。①〜④のフルタイム向け措置と組み合わせやすい。

選ぶ際は「意見聴取」が義務。5つのうち2つを決めるには、過半数労働組合(なければ過半数代表者)から意見を聴取する機会を必ず設ける必要があります。解説者の実務提案としては「①始業・終業時刻の変更(時差出勤)+⑤短時間勤務」の組み合わせが無難——テレワークは職種・新人で難しく、ベビーシッター補助も金額次第で助けになりにくい、という理由からです(あくまで解説者の見解。自社の実情に合わせて判断を)。

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個別の周知・意向確認——タイミングと聞くべきこと

従来は「妊娠・出産の申し出時」に育児休業制度の個別周知・意向確認が必要でしたが、改正で確認するタイミングと内容が増えました

① 妊娠・出産等の申し出時

育休制度の周知・意向確認に加え、勤務時間・勤務地・両立支援制度の利用期間・仕事と育児の両立に資する就業条件(業務量や労働条件の見直し等)をヒアリングし、自社の状況に応じて配慮します(配慮は義務)。

② 子が3歳になる前(1歳11か月〜2歳11か月ごろ)

10月改正で選んだ「柔軟な働き方」2措置の個別周知・意向確認を行い、あわせて勤務時間・勤務地・両立支援制度の利用期間・就業条件について周知・ヒアリングし、配慮します。

周知・ヒアリングの方法は、面談・書面の交付・FAX・電子メールのいずれか(FAXとメールは労働者が希望した場合のみ)。面談はオンラインでも可ですが、解説者は書面を使ったきちんとした面談を推奨しています。

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雇用保険の改正——男性育休は「手取り実質10割」へ

従来の育児休業給付
育休中は賃金の67%が給付(手取りだと約8割相当)
育児休業を
取得
育児休業給付
賃金の67%
手取り
約8割相当

出生後休業支援給付金(2025年4月〜)
夫婦がともに一定期間の育休を取ると、上乗せで手取り実質10割に
被保険者と
配偶者が
ともに育休
それぞれ
14日以上
取得
最大28日、
賃金の13%を
上乗せ
67%+13%
=80%
手取り実質10割

給付の80%は額面ベースですが、休業給付には社会保険料・所得税・住民税がかからないため、手取りで見ると実質10割相当になります。対象は出生後の一定期間(男性は出生後8週間、女性は産後休業後8週間以内)。狙いは男性が産後に14日以上休むこと。なお配偶者が専業主婦(夫)や一人親の場合は、配偶者の取得を求めずに給付率を引き上げる配慮があります。

もう一つ、育児時短就業給付金も新設。短時間勤務(育児時短就業)を利用しやすくする給付で、時短で下がりがちな収入を補い、短時間勤務という選択のハードルを下げます。

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中小企業の生き残り対策——「大変」を「採用力」に変える

牧野氏の結論は明快です。2040年には約1,100万人の人手不足、2050年には生産年齢人口が約2,100万人減少すると見込まれます。介護・医療の担い手も必要になり、人手はますます逼迫します。だからこそ育休・介護休業を「対応が大変な負担」ではなく、社員が長く安心して働くための制度と捉え直し、求人・定着に活かすのが勝ち残り策だ、と。

鍵は「助け合う社風」づくり

制度があっても、実際に休めるかは職場の人間関係次第。日本人は「人様に迷惑をかけてはいけない」と育つため、職場の仲間には助けを求めにくい。そこで自己開示(趣味・家族・自分の困りごとを打ち明ける)を促し、「少し迷惑をかけても助けて、と言おう」「余裕がある時は手伝うよと言おう」と教育する。家族ぐるみの企画で互いの背景が見えると、助け合いが生まれます。

助け合いが当たり前になると、有休や介護休業が実際に機能し、定着率が上がります。さらに仲間の困りごとに共感できる人=お客様の悩みにも共感できる人になり、高単価のサービスが売れて労働条件も良くなるという好循環が生まれます。男性育休の際は仕事の見える化・引き継ぎ・不要業務の棚卸しのチャンスにもなります。

そして実績(男性育休◯人、育児短時間勤務◯人…)を堂々と求人でアピールすれば「労働条件の良い会社」として人が集まる——牧野氏が自社を90名規模に成長させた要因もここにある、と締めくくります。

補足:男性育休のメリット

妻が最もストレスを感じるのは産後2週間で、母子だけで過ごす時間が増えると育児不安が強まりやすいとされます。良い関係を築き、妻が正社員として働き続けられた場合とそうでない場合とでは生涯収入で2億円以上の差が生まれる、という点も男性に伝える価値がある、としています。

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用語ミニ辞典

看護等休暇病気・怪我の子の世話のための「子の看護休暇」を拡充した名称。感染症による学級閉鎖や入園式・卒園式も対象になり、小学校3年生修了まで取得可能に(年5日、2人以上は10日)。
所定外労働の制限契約上の所定労働時間を超える労働(=残業)の免除。請求により免除され、対象が3歳未満から小学校就学前まで拡大された。
柔軟な働き方を実現するための措置2025年10月施行。3歳〜小学校就学前の子の養育のため、時差出勤・テレワーク・保育施設等・養育両立支援休暇・短時間勤務の5つから、会社が2つ以上を選んで導入する仕組み。
養育両立支援休暇10月改正の選択肢の一つ。就業しつつ子を養育しやすくする新しい休暇で、年10日以上・時間単位で取得できるようにする。
出生後休業支援給付金2025年4月新設の雇用保険給付。夫婦がともに一定期間(それぞれ14日以上)育休を取ると、最大28日、賃金の13%を上乗せ。育休給付67%と合わせ80%=手取り実質10割。
育児時短就業給付金2025年4月新設。短時間勤務(育児時短就業)中の収入減を補う給付で、時短を選びやすくする。
次世代育成支援対策推進法子育て支援の行動計画づくりを企業に求める法律。2035年(令和17年)3月末まで延長され、PDCA(状況把握・分析)と数値目標の設定が義務化された。
介護離職防止のための環境整備研修・相談窓口・事例提供・方針周知のいずれかを講じる義務。あわせて40歳前後での情報提供、介護直面時の個別周知・意向確認が求められる。