社内共有資料

言語化できる人・できない人
「言語化=明確にすること」——比較と定義で、伝わる言葉に変える

PIVOT TALK より、言語化コンサルタント・教育コミュニケーション協会 代表理事 木暮太一氏が語る「ビジネスに必要な言語化」をわかりやすく整理
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まず3行まとめ

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元動画

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※ ページ内再生中はその場でジャンプ、未再生のときはYouTubeを該当時間から開きます。本記事は主に前半(言語化の考え方)を整理しています。後半の「問いかけ・伝え方」は動画本編でご覧ください。

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登場人物・番組

ゲスト

木暮太一氏(こぐれ たいち)

  • 言語化コンサルタント/一般社団法人 教育コミュニケーション協会 代表理事。著書『リーダーの言語化』(ダイヤモンド社)ほか、これまでに65冊を執筆
  • 19歳から本を書き始め、執筆歴は約30年。14歳の頃から「分かりにくいことを分かりやすい言葉に変換する」ことに取り憑かれてきた
  • 学生時代に『資本論』を平易に言語化した解説書を出版。お笑い芸人の中田敦彦氏もその本の読者だったという
  • 現在は企業のリーダー向け言語化研修と、経営者向けのビジネス言語化コンサルティングを実施。年間200件以上・累計3,000件
番組

PIVOT TALK(PIVOT 公式チャンネル)

  • ビジネス映像メディアPIVOTの対談番組。聞き手は野嶋紗己子氏(PIVOT MC/元MBSアナウンサー)
  • 今回のテーマは「言語化ができる人とできない人」。前半で「両者は何が違うのか」を深掘りし、後半で「問いかけ・伝え方」の実践に踏み込む2部構成
  • 「言語化=明確にすること」「リーダーは行動を明確に示す」「言語化できているという思い込みを捨てる」「比較と定義で言語化上手」が柱
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数字で見る「言語化」

5%
頭の中で明確になっている割合
自分の考えのうち明確に捉えられているのは約5%で、残り95%は曖昧なまま(番組で紹介されたハーバードの研究)。ここを明確にするのが言語化
8
「自分はできている」の思い込み
「言語化は大事」と答える人が8割、そして「自分はできている」と答える人も8割。まず"できていない前提"に立つ(木暮氏の社内アンケート)
3
「そのために何を?」の反復
依頼に対して「そのために何をする?」を3回繰り返すと、自分の指示が自分の中で明確になっていく(型フレーズ)
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そもそも「言語化」とは何か

木暮氏の定義はシンプルです。言語化とは「明確にすること」——以上。短く言うことでも、キャッチコピーを付けることでも、表現力豊かに語ることでもありません。

だから言葉でなく図で明らかにしても言語化ですし、逆に「いい感じにやっといて」は言葉を発していても指示が明確になっていないので言語化できていない、ということになります。何を明確にするかは場面ごとに違い、ビジネスなら自分の価値を、対人コミュニケーションなら自分の考えや感情を明確にする——それがすべて言語化です。

なぜ今、言語化なのか

木暮氏は「あまりハッピーな理由ではない」と言います。世代間で暗黙の前提が違ううえ、コロナを挟んで仕事がオンライン化し、それまで肌感覚で伝わっていたものが伝わらなくなった。溜まったストレスが限界(バケツ理論で言えば溢れた)に達し、「もう言葉にしなきゃ分からない」となったのが近年の流れ、という見立てです。

だからこそ、コミュニケーションの前にまず自分の行動を変えるために言語化する。「打ち合わせに出た」「メールを返した」で仕事をした気になるが、それ自体は誰かを喜ばせていない。価値とは何か・そのために何をするかを自分で捉えている人と捉えていない人とで、行動が変わり結果が変わります。

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役割ごとの言語化——経営者・リーダー・メンバー

経営者
言語化するもの
ビジョンを言語化する。スポーツで言えば「この試合にどう勝つか」を示す立場。
この本の主題
リーダー
言語化するもの
メンバーが取るアクションを言語化する。監督が采配(サイン)を出すように、勝つために各自が何をすべきかを示す。役職でなくリーダーシップを発揮する全員が対象。
メンバー
言語化するもの
日々のお互いのやり取り(コミュニケーション)を言語化する。選手=プレイヤーとして動く。

「アクションまで示すと部下が考えなくなる」への反論

この主張には「リーダーがアクションまで言語化したらメンバーが頭を使わなくなる」という反論がよく来ます。しかし木暮氏は、采配を出すのは監督の役割だと切り返します。「自分で考えてとりあえず試合に勝っておいて」は監督失格ではないか、と。武道の守破離のとおり、まず教わって型を守る段階が必要で、何も教えずに「自分で考えろ」では成立しません(それが成立するなら学校の先生は不要になる)。

ハードルを下げる作戦:リーダーが1人で決めない

とはいえ「なりたくてリーダーになったわけではない」「全部私が決めるのは荷が重い」という声を受け、木暮氏は方針を更新しました。リーダーが方向性は示すが、確定はしない。「私はこう思う、みんなはどう?」とメンバーに投げ、出てきた案をリーダーが明確にする——ファシリテーターの役割に徹すればいい、という現実的な落とし込みです。受け手のメンバーも「そのために何をすればいいですか?」と逆に聞いてよく、これはリーダーとメンバー双方の共通言語になります。

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言語化できない理由——「いい感じにやっといて」の罠

言語化しているつもりなのに、なぜ前に進まない?
自分が発している言葉が明確になっているかを検証していないから。木暮氏の社内アンケートでは、8割が「言語化は大事」と答え、同時に8割が「自分はできている」と答えました。この「自分はできているはず」という思い込みがあるため、「言っているのに相手が動かない、なぜだ」となる。正しくは「あなたの言っていることがまず明確になっていない」という前提に立つことです。
いちばんありがちな"つもり"のフレーズは?
ダントツで「いい感じにやっといて」。木暮氏が在籍したリクルートでは「ヨシナにやっといて(=いい感じに)」が口癖だったといいます。言った側は「ボールは渡した、指示した」つもりでも、そこで止まっているのが最悪。まずこのフレーズを変えなければ、という認識を持つことが出発点です。
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型フレーズ:「そのために何を?」を3回繰り返す

曖昧な指示1週間の仕事が1ヶ月に
「いい感じにやっといて」→ ボールを渡した気になって止まる
「資料を
いい感じに
作っといて」
相手も曖昧な
まま着手
「なんか違う」
で何度も
差し戻し
完成が大幅に
遅れる

3回ブレイクダウン指示が自分の中で明確になる
「これを依頼します。そのために○○してください」を3回重ねる
資料を
いい感じに
作る
そのために
好きな雑誌を
10冊集める
そのために
良いビジュアルを
切り抜く
そのために
好きな人物の
写真を10枚
明確な
指示になる

コツは「これを依頼します。そのために○○してください」を3回繰り返すこと。「なぜ?」を掘るより易しく、3回やれば最初よりずっと明確になる。指示する側だけでなく、受ける側が「そのために何を?」と逆質問してもよい。

トヨタ式「なぜを5回」との違い

本質にたどり着くというトヨタの「なぜを5回」は、現場に人がいて実態が目の前にある場合に限って有効だと木暮氏は指摘します。それ以外では、たいてい違う方向に掘ってしまう。たとえば「良い資料が作れない→発想がないから→くだらない番組しか見ないから→日本人が勉強しないから→大学が勉強しなくても卒業できるから…」と、いつの間にか「資料が作れないのは大学の教育制度が悪い」という誰の役にも立たない結論に着地してしまう。だから「なぜ」より、前に進む「そのために何を?」の3回反復が実務的、というわけです。

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言語化が上手な人の2つの武器——比較と定義

簡単な方

比較する

何かと比べると、物事が一気に捉えやすくなる。上手な人は常に「あれと比べたらこっち」「1年前の自分と比べたら今は」と何かと何かを比較して表現している。

「今日は気温◯度」では何も感じないが、「昨日より5度下がった」と言われると"寒い"と伝わる。新商品も、自社だけ見ても評価できず、他社と比べて初めて分かる。
難しい方(究極)

定義する

定義とは「〜とは〜である」ではなく、必要条件を挙げること。「人生とは冒険である」は言葉を横にスライドさせただけで、何も明確になっていない。「これが成立するには何が満たされていればいいか」を挙げるのが定義。

木暮氏にとっての「リゾート」の定義=①海が綺麗 ②半袖・短パンで過ごせる ③人が少ない。人によって定義は違うので、"あなたにとっての定義は何か"をお互い確認し合う。

木暮氏は中学2年の頃から言葉の定義を考え続け、ハワイで浮かびながら「南国とは何か」「働くとは何か」を定義してしまうほど。背景には頭の中で明確なのは5%だけ、残り95%は曖昧(ハーバードの研究)という認識があります。曖昧なままだから「違うんだよな」を繰り返す。「お金持ちになりたい」も同じで、自分が"お金持ちになった"と言える必要条件を定義していない——年収1億でも24時間365日自由がなければ望んだ姿ではないはずで、実はお金だけでなく時間やパートナーの条件も入る。欲しいものが漠然としていれば得られない、というのは恋愛や人間関係にも通じる汎用的な話です。

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ゴールの言語化——KPIだけでは足りない「価値=変化」

ゴールには2種類あります。ひとつはKPIのように数値で示せるもの。これはゴールの明確化の一つになりますが、そもそもそのKPIが正しいかは検証されていないことが多く、企画や話し方のようにKPIで測れない仕事もあります。だからもう一つ、定性的なゴールの明確化が必要だ、と木暮氏は言います。

その定性的ゴールが「誰かが何かをできるようにする」。木暮氏は「価値とは変化である」と定義します。商品もその仕事も、「こうだった状態がこうなる」という変化を生み、しかもそれが相手の望む変化であれば価値になる(望まない変化——たとえば人を太らせる——では意味がない)。

だから自分の仕事を「誰の、何ができることに貢献しているか」という変化として位置づける。「今日は画面の向こうの人がこれをできるようにしたい、そのために私はこう話す」と意識づけできれば、目線が揃い、貢献している実感も生まれます。「お客様第一主義」のような四字熟語・キャッチコピーを社長室に掲げるだけでは、社員は何をすればいいか分からない——ビジョンも「誰が・何のために・何をできるようになるために存在するか」まで言葉にする必要がある、というのが結びのメッセージです。

(後半ダイジェスト)進捗を問いかけるときのコツ

動画後半では「問いかけ・伝え方」に踏み込みます。進捗を尋ねるときは、まずそもそも明確に指示したかを省みること。そのうえで「50%は行った?」のように例示(たたき台)を出すと、相手は「いや30%です」と基準に沿って答えられ、状況がつかめて次の問いかけができます。さらに木暮氏は「大きく分けると2種類/3種類あります」と"数から答える"ことで、自分と相手の頭の中に共通認識を作れると説きます(詳しくは動画本編で)。

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用語ミニ辞典

言語化木暮氏の定義では「明確にすること」。短く言う・キャッチコピー化・表現力とは別物で、言葉でも図でも明確になれば言語化。
定義(必要条件)「〜とは〜である」という言い換えではなく、「これが成立するには何が満たされていればよいか」という必要条件を挙げること。人によって定義は異なる。
比較物事を捉えやすくする最も手軽な言語化の技。「昨日より5度下がった」のように、何かと比べることで意味や感情が立ち上がる。
「そのために何を?」3回法「これを依頼します。そのために○○してください」を3回繰り返し、曖昧な指示をブレイクダウンして明確化する型フレーズ。
守破離(しゅはり)武道などの習得段階。まず型を守り、次に破り、最後に離れる。何も教えずに「自分で考えろ」は成立しないという文脈で登場。
なぜを5回トヨタ式の原因深掘り法。現場に人がいて実態が目の前にある場合に有効で、それ以外では違う方向へ掘りがち、と本編では注意喚起。
価値=変化木暮氏の定義。「こうだった状態がこうなる」という、相手が望む変化を生めば価値。仕事を「誰の何ができるようになるか」で捉える。
ヨシナに「いい感じに」を意味するリクルートの口癖(「よしなに」)。言った側は指示した気になるが相手には伝わらない、曖昧指示の代表例。