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つまり日本企業は「使ってはいる」のに使いどころを間違えていて、売上にも利益にもつながっていないのが現在地。菅原氏はこれをDXブームの再来だと指摘します——当時も何十億円も投資したのに「顧客の価値が何か増えたか」に答えられる経営者はいなかった、と。
AIモデルは指数関数的に進化しているのに、企業の使い方はリニア(直線的)のまま。このギャップを埋める鍵が、次のセクション以降の「会議のやり方を変える」「会社の知を貯めて再生産する」という2つの打ち手です。
ポイントは「並列処理」。Claudeが資料を直している15分の間に次の議題を進める。別々の日程に散らばっていた30分ミーティング3〜4本も、1つの2時間ブロックにまとめてその中で回し切れる。フィードバックを一言もらうためだけに1週間待つ——その待ち時間こそがムダの正体。
ソフトバンクの経営会議は、AI以前から「問題が見つかったらその場で担当者を電話で呼び、解決するまで終わらせない」スタイル。イーロン・マスク氏も問題のある部署にデスクごと移動して解決するまでそこにいる、と紹介されます。
普通の会社では真似できなかったこの「その場で解決し切る」やり方も、フォルダに普段からデータを入れておけば、会議の場で音声で聞くだけで必要な情報を呼び出せるので再現できるようになった。誰もが孫氏・マスク氏のようなセルフループを回せる——これがAI会議の本質だ、というのが菅原氏の主張です。組織も「下から吸い上げるボトムアップ」から「経営者が自分でドライブする」形に変わっていきます。
うまくいったメール・資料・仕事のプロセスをファイルとして残す。エンジニアの世界の「DRY=同じことは2度と書くな」の発想。
保存した知を別の場面で使い回す。「Aさんに送ったメールをBさん向けに書き換えて送って」の一言で済む。
成績のいい営業のメールの送り方を保存し、他の社員全員に使わせる。個人のノウハウを組織の標準にする。
知×知の掛け合わせ。「竹下さんの知見×菅原氏の知見で新企画のアイデアを100個」のように、新しい知を生み出す。
このサイクルを回した蓄積が、そのまま会社のストック(知的財産)になります。昔の製造業では機材や環境の違いで知のコピーが難しかったのに対し、デスクワークの知(メールの書き方・資料の作り方・業務プロセス)はAIでほぼ完全に再利用できるようになった——ここが今回の変化の大きさだ、と菅原氏は説明します。
チャットで質問して答えをもらう。ほぼ検索エンジンと同じ使い方。多くの人がここは経験済み。
メール・企画書・SNS文面などの単発生成。ただし丸ごとは作れず、直しも人間の方が上手——で止まりがち。
Claude CoworkやOpenAIのCodexのように、フォルダに会社の知財・デザインガイドを置いておき、追加の指示だけで完成ファイルを作らせる。事前コンテキストが命。
24時間自律的に動く。ただし約9割が失敗するとの調査も紹介——原因は事前コンテキスト不足。レベル3を固めてから。
レベル3の要点は「人間側の自己開示」。自社のカルチャー、やっていいこと・いけないこと、そしてOKを出す人(承認者)がどういう人かをファイルにしておかないと、AIは承認される資料を作れません。菅原氏は自身の思考法をまとめたファイル(本人いわく「菅原健一MD」)を持っており、これを渡せば新人でも菅原氏と同じ品質の企業分析が出せる、と語っています。
コツは「誰がやっても同じ結果にしかならない仕事こそAIに任せる」こと。ロゴの位置合わせや体裁の調整は誰がやっても同じなのに時間だけかかる——そこを最初にAIへ投げ、人間はセンスや判断で結果が変わる部分にリソースを集中させます。
そもそもデスクワークは俯瞰すると「会議で決める→資料を作る→決定で資料が変わる→それを入力にまた会議」というインプット→処理→アウトプットの無限ループ。ならばファイル(知財)を置き場に集約し、「処理」を目的別にAIへやらせ続ければ仕事は回る、というのが菅原氏がこの働き方に行き着いた理由です。
もう一つの要点が共有。個人のチャット欄にファイルを貼るとその人の中にしか残りませんが、Dropboxなどで会社のサーバーと連携しておけば、誰かが作った部長会議の資料が全員のフォルダに行き渡り、「先週出られなかった会議、どうなった?」と声で聞くだけで答えが返ってくる。決定事項の周知メールの作成・送信・返信確認までその場で完結します。